「音読」は、いつ始まるのか
小学1年生になり、音読の宿題が始まりました。
一文字ずつ、音にしながら読んでいます。
少し勝手読みもあります。
今は、そんな段階です。
でも、この音読は小学校に入って突然始まったものではありません。
この子は、未就学の頃から利用しています。
当時は、しりとりができませんでした。
だから最初に取り組んだのは、音読ではありません。
音を扱うことでした。
そして今、一文字ずつ文字を読んでいます。
しりとりは、意外と難しい
しりとりは、簡単な言葉遊びに見えます。
でも、やっていることを少し分けてみると、なかなか忙しい遊びです。
たとえば、「りんご」。
まず、「りんご」という言葉の最後にある「ご」を取り出します。
次に、「ご」から始まる言葉を思い出します。
そして、その中から一つを選んで答えます。
言葉の意味を知っているだけではできません。
「りんご」という一つの言葉を、
「り・ん・ご」という音の粒に分けて扱う必要があります。
こうした、言葉を音のまとまりとして捉えたり、音を取り出したり、並べ替えたりする力を、音韻認識といいます。
読み書きの土台になる力の一つです。
この子は、ワーキングメモリにも弱さがありました。
聞いた言葉を頭の中に置いておきながら、その最後の音を探し、次の言葉を考える。
しりとりでは、音韻認識だけでなく、こうした力も使います。
「しりとりができない」と一言でいっても、その理由は一つではありません。
だから、しりとりだけを繰り返せば、しりとりができるようになるとも限りません。
この子の場合は、音に気づき、音を分け、音を扱う経験を少しずつ重ねてきました。
「ねぇねぇ、しりとりしようよ!」
「もう一回!」
「もう一回!」
そんな日があります。
そういう時期があります。
もちろん、みんながそうではありません。
でも、
「音で遊ぶことが面白くなってきたんだなぁ。」
そんなふうに思っています。
同じ音から始まる言葉を探したり、
似た響きの言葉を繰り返したり、
言葉を少し変えて笑ったり。
私は、その姿を見ると、
「おっ、ここまできたのか。」
そんなふうに思っています。
音の粒が、少しずつ見え始めたのかもしれません。
今、この子は文章を一文字ずつ読んでいます。
支援では「音韻読み」と呼ばれる段階です。
一文字ずつ確認しながら読むので、読むこと自体に多くの力を使います。
ここまで来たら、次はまとまり読みですね。
就学準備は、いつ始まるのか
この動画だけを見ると、
「小学1年生が音読をしている動画」です。
でも、この音読は、小学校に入ってから始まったものではありません。
しりとりができなかった頃から、すでに始まっていました。
音に気づくこと。
音を分けること。
音を覚えておくこと。
音と文字を結びつけること。
それらが少しずつ積み重なって、今があります。
就学準備というと、
ひらがなを書くことや、
数字を覚えることを思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それも大切です。
でも、その前から育っている力があります。
今回の動画は、
「音読ができるようになった動画」
ではありません。
未就学の頃から積み重ねてきたものが、
今、音読という形になっています。
見えている姿には、それまで積み重ねてきた理由があります。
理由がわかれば支援がわかる。
見えているものに支援をするのではなく、
見えている理由に支援する。
そんなことを丁寧に、一つずつ。
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